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2017年5月19日 (金)

〜マウスピースの特性 Part2〜 LESSON No.17

ON-LINE LESSON 第17回を迎えました
今月のテーマは、マウスピースの特性PART2です。

             
             

ON-LINE LESSON No.1でマウスピースに関して取り上げた内容の続編です。
現在様々なメーカーがマウスピースを研究開発しています。
奏者との相性、楽器との相性、 このバランスを取ることによって、コントロールの容易さを得てそして何よりも大切な 求める音色が出しやすいGOODな状態に持っていきます。
今回は違った視点(重量バランス・メッキ処理等)で書いてみます。
             

マウスピースの重量配分を変更することによって吹奏感、響きのエネルギー感が変化する事が注目され、メーカー各社が研究を重ねています。
一時期非常に重めのマウスピースが作成され、その効果に注目が集まりました。
その後「適度な重量バランス」への研究も進んでいます。
以前お気に入りのマウスピースを様々なメーカーでコピーをお願いしました。
メーカーによって異なった個性を持つマウスピースとして出会った経験があります。
また最近は形状と共に材質の硬度等にも着目するメーカーもありますね。
優れたマウスピースの中から選べることが嬉しい事です。(#^^)v(^^#)
             

個人的な経験から感じた特性を紹介してみたいと思います。              

◆各社マウスピースの印象              

・BACH                 ノーマルタイプ&アルティザン
定番と言われるBACHノーマルタイプマウスピース。
中でも61/2AL、5GS、5G、4Gは 非常に高い人気があり、スタンダードシャンクの他
オーダーでOLD-CONNのリードパイプに対応した
モデルもあります。
音色的には「積極的な中庸さ」が感じられます。
1940年代のBACH復刻モデルとして発表されたアルティザンモデル。
丁寧な作りで、音の推進力と敏感な反応を両立しています。
             
・STORK                 ノーマルタイプ&ライトブランクタイプ
このメーカーでは、ノーマルタイプがいわゆるヘビータイプのMPです。
リム方向での重量を重めに取っていますので音色に重厚感が感じられ、
音のフォーカス感が明確になっています。
ライトブランクタイプもリム側での重量を大きく取っています。
またくびれの部分を薄く設計していることはコンセプトの一つですね。
ライトブランクN.Y.Bach 61/2AL,5Gモデルは、響きのコントロールが容易な印象で、
Trbセクションとして考えた場合に空間でのハーモニーを創りやすい印象です。
             

・JOSEF                 KLIER EX
このメーカーはSTORK・ライトブランクタイプと同じく、リム方向に重量を大きく取っています。
特性はSTORKと似ていますが、外側のカップからシャンクに向けてのくびれの部分が薄めに設計されています。
これによって高次倍音がより鮮明になり、明るい響きが特徴となっているようです。
造りも丁寧で品質管理が良いメーカーの一つです。
             

・GREG BLACK
ライトウエイト、スタンダード、ミディアムヘビーの3種類、そしてそれぞれに
リム外形をシェイプしたFURUTOモデルが設計されています。
スタンダードに於いてもBACHと比べて重量が重く、芯のある響きが特徴です。
NEW YORKモデルは特に人気が高いですね。
設計バランス良さから、息を音にするイメージがとても楽に感じられます。
独特の倍音成分バランスが素晴らしい響き方でとても気に入っています。
専門メーカーならではのデータがあり、発注の際に使用する楽器のリードパイプに
合わせてシャンク調整していただけることも嬉しいです。                 
                           

・BRUNO TILZ
膨大なラインナップがありますが、プレーヤーのニーズに応える意欲が嬉しいメーカー。
NEAモデルとSpecial B.Tilzモデルは基本的にリム形状の違いです。
N.Y.Bachを参考に制作されたBakoモデルは丁寧な作りで非常に人気が高いですね。
アルトトロンボーン用のゲスリングモデル、ドムスモデルも秀逸。

・SHIRES
Vintageシリーズ、そしてややミディアムヘビーなボディのNEW CLASSICモデルが有り
レスポンスの良さ、響きの集約に特徴があります。 テナーバスでは、4Gの反応の良さが
印象的でした。

バストロンボーンについては定番サイズは勿論、従来の1Gを超える29.5mmの内径に
深いカップの組み合わせの仕様等、多数のバリエーションも嬉しいですね。
             

・LASKY
シルキー社でカスタムマウスピースを制作されていたLasky氏が独立して制作されています。
プレイヤーの繊細な要望に応えるノウハウが感じられます。
重量バランスもよく考えられており、奥深い響きと深すぎないカップのデザインから
メリハリの利いたサウンドに特徴が感じられます。
   

・YAMAHA                                
  スタンダード・カスタム・シグネチャーモデルの三種類があります。               
シグネチャーモデルでは重量バランスやシャンクの長さが違い、
適度なミディアムヘビータイプに設計されています。
代表的なモデルとしてテナーではKuwataモデル バスではYeoモデル

・ATELIER MOMO
ウィーンでマイスター国家資格を取得された河村百丈氏が2000年春「アトリエMOMO」を
設立されました。
MOMOスペシャルと銘打ったこのMPは、独自研究開発された金属分子領域での加工技術
「音響処理」が施してあり、高次倍音の強化が感じられます。
1サイズ大きめのサイズを今まで使用している感覚で使えるところも嬉しいです。
ミディアムヘビータイプ(Wモデル)は、響きをフォーカス出来る設計の重量バランスと
思います。
            

今までにカスタムオーダーさせていただいたマウスピースメーカーを中心に、
個人的感想を書いてみました。
私の経験では、選択にあたって各社ラインナップの中から自分の楽器のタイプと相性の良いマウスピースに自分を合わせていく事が近道と感じています。

          

◆素材・メッキについて                             

マウスピースの素材には真鍮、純銀、洋白、チタン、デルリン等が使用されています。
まず多くのメーカーに使用されている真鍮についてですが、設計上の重量バランスの他に
素材の金属分子を加工する音響処理をはじめ、各社研究が進んでいます。
加工の容易さも一つのポイントですが、素直な性格の音色が感じられコントロールの容易さも特徴です 。
純銀製の場合は、銀素材の「粘り」がそのまま音色に反映されて独特の吹奏感が得られます。
その粘りとコントロールの容易さを両立するためにリムのみ純銀製を使用する場合や重量を
真鍮製の吹奏感と同じにするためにライトタイプを使用するプレーヤーもいらっしゃいます。
(銀は真鍮に比べて比重が重いため、同じデザインで制作するとかなりヘビータイプになります。)
洋白製にも純銀製に近い性格があり、響きの「粘り」を感じることが出来ます。                
また金属アレルギーの奏者のために、リムのみデルリン素材を使用したマウスピースも
各社受注生産されています。
   (アレルギーの種類によって金メッキ、プラチナメッキで大丈夫な場合もあります。)
            

メッキには、真鍮素材のままの場合と銀メッキ、インナーゴールド、金メッキ、プラチナメッキがあります。
メッキによって音色が変化するかという相談もよく受けます。
この質問に答える場合、あらかじめ条件が満たされている必要があると考えています。
楽器本体でも同じなのですが、

                「奏者の音色イメージが確立されている事」
                「奏法が確立している事」
                「楽器に合ったセッティング」

すべてがOKの場合に下記の傾向があると思います。(^^)
            

真鍮素材のままのマウスピースは、リムが酸化して唇が荒れたりしやすくあまりお薦めしません。
銀メッキに対して金メッキの方が柔らかな口あたりが感じられ、 「アーティキレーション」がコントロールしやすくなります。
ここで取り上げるアーティキレーションとは、音の「質」「カラー」「発音」を意味します。
通常感じる「音程」「響きのセンター」の先にある、もっと微妙な音色を考察する場面です。
ここでの「柔らかな口あたり」とは、リップスラー等での「滑り」とは別次元と考えてください。
滑りすぎると感じている場合は、アンブシュア側での「支え」が不足している事がほとんどです。
メッキの種類によって、このアーティキレーションに繊細な違いが出ます。
メッキに関してセオリーでは反応には変わりは無いのですが、リムを当てた時の口あたりの変化から、違いが生まれ音にも反映されます。
感触の違いで発音するときにニュアンスが変わる事から、奏法的な安心感が生まれます。
               
            

マウスピースの選択において重要なことは、自分の楽器で吹いて感じる事です。
自身の息の流量、アンブシュア、奏法に適したマウスピースに出会うためには、自分自身が理想とする「音」のイメージを持つことが必須ポイントです。
            

マウスピース、楽器本体とも一番大切なことは、奏者のイメージにフィットする
音の「質」「カラー」「発音」を素直に引き出してくれる事
だと思います。
                          

近くで音の太さや柔らかさを求めすぎると時として響きのコアが薄い音色になりやすく、結果的にホールでは音圧の感じられない音色になる危険性があります。
信頼できる方に聞いていただくこともとても大切です。
            

これだ!と思うマウスピースに出会ったら、じっくりつきあっていきましょう。
私自身も様々な音楽体験を通じて、必要とする音色、マッチするフィーリングを求めて楽器やマウスピースを試してきました。
例えばマウスピースの特性に合わせて、自身の奏法も落ち着いていくプロセスがあると思います。
私の場合MPを変更した際には約3ヶ月間はそのMPを使用して、体側(奏法)が慣れてから
判断してきました。
ここ20年は、リム、カップ形状の基本設計は同じマウスピースを愛用しています。
セイヤーバルブ等、オープンな吹奏感の楽器では,277スロート、ノーマルロータリー等
密度の濃い吹奏感の楽器に.281スロート。本体が軽めのタイプにはFurutoモデル、
重めにはミディアムといった組み合わせから
奏者側でのコントロール変化が少なく
楽になりました。

自分の理想の音を目指して、たくさんの経験を積んでいきましょう。
               

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