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2017年5月16日 (火)

〜アルト・トロンボーン〜 LESSON No.14

今月のテーマは「アルトトロンボーンについて」です。
               

             
             

 

寒い日が続きます。みなさん風邪には気をつけて下さいね。
今月は、アルトトロンボーンについてお話ししたいと思います。

             

吹奏楽の世界では使用する機会が少ないと思いますが、オーケストラでは作曲者の指定でアルトトロンボーンを使用します。
モーツアルト、シューマン、ベートーヴェンの作品、アルトならではのサウンドが体験できます。
またトランペットとトロンボーンの「橋渡し」の役割を演じる楽器ですね。
求められる事は、まず音色なのですが、セクションとしての響きの築く方法が重要になってきます。

             

ベルリンで学んでいたときに教わった「響きの構成」ですが、まず隣のTrpセクションでの
響きの分子構造を感じることが重要です。(#^^)v(^^#)
そしてトロンボーンセクションの中でも響きの太さのピラミッドを創り上げます。
このためには、2nd Trb奏者はテナー、Bass Trb奏者がシングルロータリーの楽器を使用して築くことが一番作曲者のイメージに近いとのお話を聞くことも出来ました。

             

例えばモーツアルト「レクイエム」やベートーヴェン「第九」において、トロンボーンの役割は、合唱の声部との兼ね合いが大切になってきますね。
合唱とのバランスを考えて演奏すると、アルト声部の動きを見事に浮き上がらせる効果が
演出できます。
この時にセクションに求められる音色は、どちらかというと「サウンドの明るさ」です。
セクションとして考えるときに、2nd Trb奏者、Bass Trb奏者の使用する楽器やサウンドに
ついても考えてみましょう。

             

ニューヨークフィル首席のJ.アレッシ氏とお話しさせていただいたことがあるのですが、
彼がアルトを使用する時は、2nd Trb奏者はBACH36B(中細管)Bass Trb奏者は、
シングルロータリーを使用してサウンドを築くとの事でした。
現在はタイン(ドイツ管)に統一してサウンドピラミッドを構成されていますね。
ドイツ管の特徴の一つとして弦楽器に音を溶かせやすい面を大切にされています。
ボストン交響楽団Trbセクションのインタビュー(昔のITAジャーナルより)においても2nd Trb テナー、
BassTrb シングルの組み合わせに変更して演奏すると掲載されています。

             

アルトトロンボーンを初めて吹いたときは、音色が明るく艶やかなのですがセクションとして
音色的に突出したイメージになりやすく、MPサイズの変更によって音色を落ち着かせる手法をとっています。
仲間といろいろな組み合わせの実験をしました。
結果的には上記のオーケストラプレーヤーのアドヴァイス通り、他のTrbのメンバーのアルトに求められる響きは、オーケストレーションの勉強を進めると決して細いテナーの響きではないことがわかりました。
余談ですが、この実験の時に1st Tenor Bass (Large bore)2nd (Large bore+Bass Slide)
3rd (Bass Large bore)とい組み合わせも実験しました。
こちらも響きのピラミッドが感じられました。

             

近年テナートロンボーンを演奏する場合において、大きなマウスピース、ラージボアの楽器が使われています。その響きがアルトパートに対しては「太りすぎる」傾向があります。
隣のトランペットパートとのバランスを大切に考えることもアルトトロンボーンが
改めて注目されている要因ではないでしょうか。

             

アルトトロンボーンに求められる響きは、トランペットセクションとの響きの繋がりを考えて
「統一感のあるブレンド」を創出することが重要です。
通常Bass Trb-2nd Trb-1st Trbの順に響きを乗せるイメージで演奏しますが、
この場合1st trb-2nd Trb-Bass Trbの順に響きを引き寄せるイメージが重要なポイントです。
2nd Trb奏者、Bass Trb奏者の方は、いつもよりも明るい響きをイメージして演奏して下さい。
音域的に高音域を担当するこの楽器ですが、テナーからの持ち替えでは慎重な練習が必要です。
倍音の関係上安心して吹けますが、テナーで吹けない音域はアルトを使用しても吹けません。(^^;
ON-LINE LESSON No.4でも書きましたが、バズィングの練習を十分行ってから練習しましょう。
Es管ですから、中音域のEsを中心に音域を拡げていきます。

             

テナーを演奏する時との一番の違いは、息の流量の圧力です。                   
息のスピードに頼るのではなくよりたっぷりとした息の圧力をかけて演奏します。
特別なアンブシュアが必要なのではなく、楽器と息のバランスを取る事が重要です。
ON-LINE LESSON No.13で取り上げましたが、息の圧力のコントロールに気をつけて練習しましょう。
教則本としては、B.スローカーのアルトトロンボーン教本(M.Reift社)がお勧めですね。
次に音程のトレーニングが一番大事になってきます。
楽器が小さくなるためポジションの間隔が非常に狭くなり、2~3mmのポジションのずれが
イントネーションにははっきりわかる差になって出てきます。
それ故に音程の安定している楽器の選択が重要なポイントになってきます。

             

私の場合は仲間とのトロンボーンアンサンブルでバッハコラール集や賛美歌を使用して
練習させていただきました。
最初はサウンドさせるのに大変でしたが、少しずつ安定していきました。
メンバーのみなさんありがとう!(#^^)v(^^#)

             

アルトトロンボーンのマウスピースについては、相性が強烈にイントネーションに出てきます。
私の場合はストロボチューナーで、倍音を含むチューニングが容易になる事を
セレクトポイントとしています。
               
楽器本体に関しては、最近とても音程の良いモノが増えてきて喜ばしい限りです。
ヤマハ、レッチェ、タイン、シャイアーズ、グラッスル、キューンル他様々なメーカーが研究しています。
ぜひ一度試奏してアルトトロンボーンならではのサウンドを体感してください。

アルトトロンボーンを使用したお勧め演奏CDをリストアップしてみます。              

シューマン:交響曲第2番 第3番 レヴァイン/ベルリンフィル
有名な4楽章のトロンボーンコラールは必聴だと思います。
このCDは私がベルリン留学中に制作されたCDですが、ベルリンでのライブでもゲスリング氏をトップに素晴らしいサウンドに感動しました。

             

ベートーヴェン:交響曲第9番 アバド/ベルリンフィル                
今まで私の知る限り最高の合唱団とベルリンフィルの組み合わせだと思います。美しい合唱と共にトロンボーンの役割も明確に聴かせてくれます。

             

モーツアルト:レクイエム ベルリンフィル                
この楽曲でのトロンボーンの扱い方はとても効果的で、合唱の声部を見事に浮き上がらせています。
トロンボーンセクションの緻密なバランスも聴かせてくれます。

             

◆Hindemith on Trombone(BB-1002CD)
ボストン交響楽団首席Trb奏者Baron(バロン)氏のアルバム。この中にヒンデミット「朝の音楽」をトロンボーン四重奏で演奏しています。
トップはアルトを使用しておりトータルバランスに 優れたサウンドを聴かせてくれます。

             

BAROQUE-BOLERO(audite955.437)
バイエルン放送管弦楽団首席Trb奏者Horch(ホルヒ)氏のアルバム。
バロック音楽を中心に、アルトトロンボーンとオルガンの美しいサウンドが楽しめます。

             

GERMAN MUSIC FOR TROMBONES
トリトントロンボーンカルテットのドイツ音楽を集めたアルバム。
アルトトロンボーンならではのサウンドを聴くことが出来る貴重なCDだと思います。

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