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2017年5月14日 (日)

〜楽器選定〜 LESSON No.12

ON-LINE LESSONも12回目を迎えました。(^^)v
今月は今までに一番多く相談を受けた「楽器選定」についてです。

             
             

トロンボーンに限りませんが楽器には通称「当たり外れ」があると言いますね。
もちろん今使用されている「お気に入りの楽器」が一番なのですが、新しく楽器を購入する時にはとても気になるところです。

             

スライドやロータリー等の機能面のチェックは必須事項ですが、同じメーカーの同機種を
吹き比べてみると、ハンドメイドの良さからか個性があります。
熱処理の内容やベルのハンマーリングによる金属粒子のバランスや硬度の違い、
リードパイプが直付けの場合の取り付け方やハンダの量、支柱の取り付け方や
ハンダの量など、様々な事項のバランスによって違いが出てきます。
金属の応力に関する研究も進められていますね。
特にリードパイプの個体差は影響が大きく、形状が全く同じ楽器でもいろいろな意味で
違う個性が出てくるようです。
音程バランスや音抜けの良さなどもこんなところから違いが出てくるのかもしれませんね。

普段教えている生徒達の楽器以外に、WEB上で知り合った方々の楽器選定もさせていただく機会が増えてきました。その他に選定を楽器店に頼まれることもあります。
やはり高価なモノですから、納得のいく楽器に出会って欲しいと思っています。

             

今までに様々なメーカーの楽器を選定させていただいて一番良い経験になっている事は、
楽器によって 「息の入れるポイント」が少しずつ違うことです。
試奏の際は、使い慣れたマウスピースと(楽器とのセッティングが出来ている上での事ですが) 「元気な気持ち(^^)」を持ってインプレッションを大切にするところから始めて下さい。
               
そしてその楽器の長所を探すアプローチ・一番良く響くポイントを見つける事が重要なポイントだと思います。
その上で音程のバランス、音色、また機能面を考えていくとGOODですね。

             

同じ楽器でも奏者によって別の音色がします。
口内容積、骨格等、体の共鳴が影響すると考えています。(^^)
同一メーカーでのアンサンブルでサウンドがまとまりやすく感じる事は、楽器側での
「音の響き方」や「音程の傾向」が似ている事が大きいようです。
しかし同じメーカーでそろえる事が大事なのではなく、「同じ方向性の音色や響きを目指す事」が近道になると思います。
お気に入りの逸品を見つけましょう。

             

材質に関して少しお話ししたいと思います。
材質はイエローブラス、ゴールドブラス、レッドブラス、スターリングシルバー、
ニッケルシルバー等に大きく分けることが出来ます。
それぞれメーカーによっても合金の比率が違います。
             

リードパイプ交換が出来る機種も増えてきました。
この材質(真鍮・純銀・ニッケル製)や形状は特に大きく影響すると感じています。             
同じ形状でも材質を変更すると個性の違う別の楽器に変身します。
ベルとチューニング管、スライドの材質の組み合わせでも変化しますね。
音色面と共に吹奏感の変化も見逃せないバランスです。

             

一般的に市販されている楽器達は、プレーヤーの意見、設計者の考え、制作者の技術の結晶でトータルバランスが非常によく考えられていると感じます。
表面の仕上げ(ラッカー、シルバープレート、ゴールドプレート、ブラッシーサテン等)によっても変化していきます。

             

ベルについて少しお話ししたいと思います。
よくイエローブラス(YBベル)は明るめ、ゴールドブラス(GBベル)は柔らかい音色が
特徴と言われていますが、ベル素材の熱処理等の調整によって変化します。
例えば同じ肉厚形状でもGBベルより柔らかい音色の出しやすいYBベルも制作できるわけです。
金属の比率以外にも音色を創造するノウハウを持っているんですね。
一般的にYBベルはソリスティックな響きが特徴とされています。
YBベルにGBチューニング管を付けてバランスを取る方法もメジャーになってきました。
レッドブラスベル(RB)も深みのあるサウンドを特徴としていますね。
             
ベル形状や肉厚分布、形状
による違いは、本体側の個性をどう生かすのか
メーカーはトータルバランスを研究されています。
一般的にベル全体の形状が徐々に太くなるデザインでは響きの太さが得やすく
絞ってある部分が長く最後にベルの開きが大きくなるデザインは。響きのコアが
明確になりやすい傾向と言われています。
全く同じ形状デザインでベル径のみが違えば似た吹奏感の上で響き方、
ダイナミックレンジの違いが個性として出てきます。
これは楽曲が求める音色によって使い分け出来る一つの方法として考えています。
形状と共に楽器全体の肉厚分布やベル熱処理による堅さの違いも関係してきますね。

音色は好きなんだけれども、少しヘビーに感じる方にはワイドスライド先端U字管を
真鍮からニッケルタイプへ変更してみて下さい。
それでもきつく感じる場合は形状をワイドタイプからナロータイプに変えてみるのも
一つの方法です。
より艶やかな音色を求めたいと感じたら、スライド外管材質を真鍮製から
ニッケルシルバー製のスライドに変えて試してみるとフォーカス感が出てきます。
明るくクリアな音色が特徴的なベルで、響きの太さを求める場合にナロータイプから
ワイドタイプのスライドを試してみるのもGOODではないでしょうか。
またストレートな響きにまろやかさを加えたい場合はチューニングU字管を
イエローブラスからゴールドブラスへ変更すると効果があります。

               
一般的にテナーバストロンボーンといわれるF管付きの楽器のノーマルロータリー搭載で
トラディショナルラップ、オープンラップモデルがあります。
広告ではF管の抜けが変わることが書かれている事が多いですが、この二機種の場合支柱の位置や本数が変わるため、私はB管の吹奏感が変わることの方が大きく感じています。
F管の抜けに関してテナー管に近い反応を考える場合、ハグマンロータリーやセイヤーバルブ、レッチェバルブ、ヤマハVバルブ等、ストレートな息の流れを重視した設計で大きく変化すると思います。
この場合も支柱バランス等、それぞれのメーカー独自の設計があります。
例えば同じ設計のベルが装着された楽器で、同じスライド(リードパイプ)のまま
ロータリーセクションの設計が違う状態を吹き比べてみるとわかりやすいですネ。
ノーマルロータリーの特徴でもある密度の高い音、セイヤーバルブの特徴である
拡がりのある音色、どちらもステキな個性と思います。

             

好みの吹奏感を考えるとき、楽器側の個性に合ったマウスピースの選択というバランスも
大切と思います。この吹奏感の変化は音のブレンドに大きく影響すると思います。
この場面でのマウスピースの選択は重量バランスとスロートデザイン・サイズの2つです。               
◇重量バランス
リム・カップ側は同設計で、外形重量バランスを変更したモデルでは、楽器本体との
相性を合わせることでレスポンスの良さ、安定感が生まれます。

◇スロートデザイン・サイズ
大まかに言えば楽器側で好みの吹奏感(フリー、タイトetc.)を求めるか、
マウスピース側で求めるかのバランス感覚と感じています。
キャラクタータイプの違う楽器を同一奏者が吹き分ける場合、タイトなタイプの設計に対し
オープンなマウスピース・フリーなタイプの本体にタイトな性格を持つマウスピースの組み合わせで、好みの吹奏感に統一感が生まれるように感じます。

お気に入りの楽器が見つかったら、じっくりと自分自身がその楽器の響かせ方に慣れていく・楽器を育てていく楽しみを満喫して下さい。            

             

表面仕上げについては、私もいろいろやりました。(^^#)                
ラッカー仕上げはクリアなアタックが容易でお薦めです。
銀メッキは少し柔らかいタッチの傾向がありますね。
ゴールドプレートは音の輪郭を鉛筆のHBから4Bくらいに変えたような
クッキリしたイメージで、音の深みもGOODです。

昔ノーラッカーにしたこともあります。
調子の良い日はゴキゲンでしたが、悪い日には 空振り三振!といったホームランバッター的(!?)な楽器になりました。
これは大変!とすぐにラッカーをかけ直しました。(^^;

             

私自身も学生時代はヘビーな楽器を吹くことに快感を感じていた事がありました。
ヘビーな楽器はフォルテシモのキャパシティーはたっぷりあるのですが、繊細な演奏を求めるとなかなかキビシク、現在ではよりコントロールしやすい楽器を好んでいます。
野球に例えるとホームランバッターが使用するバットの重さと、コンスタントに打率を稼げる
アベレージヒッターが使用するバットの重さ(重さだけではないのですが。) といった
イメージ・・・後者の吹奏感を求めるようになりました。

現在は息が音になる効率の良さも兼ね備えた能力を実感できる楽器が増えてきました。
とても素晴らしいことですね。(^^)

             

私の弟子達も、学生から社会人になって「週1回プレーヤー」としてトロンボーンライフを
楽しく続けているメンバーが増えてきました。
弟子達曰く、今までほど練習時間が取れないのでもう少し楽にコントロール出来る楽器で
楽しみたいとの相談を受けることが多いですね。
まず吹奏感が重要な要素になってくるようです。
MPスロートサイズを変更してうまくいく場合もありますし、楽器を購入してクリアしたメンバーもいます。
             

メーカー各社の研究開発により、音域、ダイナミクスに関わらず統一感のある音色が出しやすい、キャパシティーが大きい楽器が増えてきました。
そんな楽器本体とマウスピースのフィッティングで音楽ライフを満喫して欲しいと思います。

お好みの機種が決定したら、何本か並べて試奏されることをお薦めします。
まったく同じ機種でも響き方や音程のバランスが違います。
そして第三者の耳(意見)があれば、BESTですね。

             

先日も、このON-LINE LESSONを通じて知り合った多くの方の楽器選定をさせていただきました。喜びのメッセージにニコニコしています。
Blogから楽器選定依頼を受けています。左欄プロフィールからメールで送信して下さい。
(未成年者の方は親御さんから以来をお願いします。)

トータルバランスを考えて創り出された個性ある楽器達。
自分に合ったゴキゲンな楽器に巡り会えますように!

             

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